伝説の大蛇をホロ酔いにした
日本最古の酒は、こだわりも伝説級

頭が八つに、尾が八本。
まるでなぞなぞの問題のように、その姿が形容される八岐大蛇(やまたのおろち)。
『古事記』や『日本書紀』をあまり知らない人でも、この怪物の伝説は多少耳にしたことがあると思います。

今の島根県を流れる斐伊川(ひいかわ)。
八岐大蛇はその上流に住み、大酒飲みで、毎年一人ずつ娘を食らったと言います。
為す術もなく生贄に捧げられる娘、奇稲田姫(くしいなだひめ)を抱き、泣くしかない両親。
そこに現れたのが、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の子、素戔嗚尊(すさのおのみこと)です。
奇稲田姫との結婚を条件に、大蛇退治を申し出るところから物語はクライマックスへと向かいます。

test 出雲神楽の演目より「八岐大蛇(やまたのおろち)」

見事、素戔嗚尊は八岐大蛇を退治、仕留めた大蛇の尾に入っていたのが、いわゆる三種の神器のひとつ草薙剣(くさなぎのつるぎ)です。
この神剣、平成から令和を迎える際に執り行われた皇位継承の儀式「剣璽等承継の儀(けんじとうしょうけいのぎ)」でも話題となりましたから、覚えている方もいるのではないでしょうか。
そして、神器誕生をめぐる大蛇との戦いのキーアイテムとなったのが、出雲特産のひとつ“お酒”だったのです。

大酒を好んだ八岐大蛇でさえすぐ夢見心地になったのが「八塩折之酒(やしおりのさけ)」。
日本最古の酒とも言われる酒はいったいどんな味なのでしょう?
幸いにもその製法は「八塩折仕込み(やしおりじこみ)」として現代に再現されています。
そもそも「折(おり)」とは「繰り返す」という意味で、水から作られる日本酒に比べて、八塩折仕込みは水の代わりに酒を使い、絞ったものを再び仕込むという作業を何度も繰り返して完成します。昼夜にわたり気を配りながら、手間暇をかけてようやくできあがるこだわりのお酒は、果実のような芳醇で深い味わいです。

八岐大蛇伝説の“お酒”にまつわる物語を受け継ぐように、今の奥出雲町、雲南市周辺は知る人ぞ知る酒米の産地となっています。
清らかな水系と水はけのよい棚田、昼夜の寒暖差によって、品質の良い酒造好適米が採れるのです。
さらに周辺には神話と現代をつなぐように、八岐大蛇伝説のゆかりの地がいくつも残っています。

八岐大蛇退治を終えた素戔嗚尊は、奇稲田姫と共に須賀の地に至り、美しい雲の立ち上るのを見て

八雲立つ 出雲八重垣 妻込みに 八重垣造る 其の八重垣を

と日本最古の和歌といわれる歌を詠みました。この歌が詠まれた須賀の地に建てられた「須賀宮(すがのみや)」、現在の「須我神社」は”和歌発祥の社”と言われています。
須我神社の奥宮は、その森厳な雰囲気から若い女性に人気のパワースポットとしても知られ、縁結びや子授けの御利益があるとされます。
はるか昔の神話の時代に思いを馳せながら、伝説にゆかりある地を訪れてみるのもいいですね。

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八塩折酒 古代仕込

稗(ひえ)・粟(あわ)・黍(きび)など雑穀を使い、精米歩合や加える水の量を古い時代のお酒に近づけた八塩折の酒。調味料に近い独特な味わいは、通をも唸らせる。

木次酒造Kisuki Shuzō

Address
島根県雲南市木次町木次477-1
Tel
0854-42-0072
Web
http://www.kisukisyuzou.com/
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八塩折仕込

八塩折仕込みでつくる貴重な一杯。熟したメロンを思わせる濃厚さと爽やかさを併せ持つお酒です。食前酒、デザート酒としてもぴったり。

國暉酒造Kokki Shuzō

Address
島根県松江市東茶町8
Tel
0852-25-0123
Web
http://www.kokki.jp/

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